2023.01.24
光学・バンドパスフィルタとは?
・IRカットフィルタは、どのような役割をしているか。
監視カメラでは、人の眼で見える範囲を超える光の波長を電気信号としてイメージセンサに伝えています。太陽光などの赤外線は、人間の眼には見えないが、監視カメラなどのデジタルカメラでは写ってしまう波長の光です。この赤外線を映像にした場合、人が見えている色と違う色になってしまいます。そこで監視カメラなどで撮影した画像を人が見ている色と同じような色で撮影するために、IRカットフィルタが使われます。つまり、IRカットフィルタは、可視光のみをイメージセンサへ伝える役割をしています。
・監視カメラではIRカットフィルタはどのように使われているか。
昼間は太陽光などに含まれる赤外線をカットするために、イメージセンサの前にIRカットフィルタを入れて、人の眼と同じように見えるカラー映像を撮影し、夜間はIRカットフィルタからダミーガラスにすることにより白黒映像を撮影します。この機能が付いたカメラはデイナイトカメラとよばれ、昼間と夜間のフィルタの入れ替えを自動で行う機能に弊社のフィルタ切替ユニットが使われています。
・IRカットフィルタには反射タイプと吸収タイプがある。
IRカットフィルタは、可視光は通過させ、赤外線の透過を反射または吸収することによってブロックします。反射タイプは、赤外域(780nm~)は反射し、可視光域(380~780nm)は透過します。吸収タイプは、赤外域を吸収しカットします。反射タイプは入射角依存が比較的高く、赤外側半値が大きくシフトします。吸収タイプは、反射タイプに比べて入射角による半値シフトが少ないのが特徴です。尚、弊社ではどちらのタイプも標準でご用意しております。
・フィルタの反射防止膜
弊社切替ユニットに使用していますフィルタは、反射防止(Anti-Reflection)の機能も備えています。反射防止は、頭文字を取って、ARとも言われています。光は物質と空気の境界となる界面で反射します。フィルタの素材のガラスは光を通しますが、実際には光がガラスを通過する際、表面と裏面でそれぞれ約4%ずつ、計約8%の反射が起こります。これが映り込みや眩しさの原因となり、これを防止するためにARコート(反射防止膜)をガラスの表面に施します。ARコートはコーティング面の反射とガラス界面の2つの反射波が、互いに打ち消し合い、反射波がなくなるという干渉現象を利用しています。単層(シングル)ARコートでは対象物の上に1層の被膜が形成され、また多層(マルチ)ARコートでは複数の材料で多層の被膜を形成します。一般的なガラスでは、ARコートが無い場合、表と裏面で各約4%計約8%反射があり、透過率は92%となります。両面単層コートでは、3%程度の反射に抑えられ透過率は97%、多層コートではさらに反射が抑えられて99%以上の透過率が得られます。
・可視光カットフィルタ
可視光域の波長を反射させて近赤外光を透過させるフィルタです。近赤外線域を撮影したいが、可視光による影響を受けたくない場合例えば、霧の中など人の眼で見えない場所に適しています。
・バンドパスフィルタ
特定の波長の光だけを透過させ、それ以外の光をカットするフィルタです。
シャープな波長切り分けと高い透過率を得ることができます。例えば、特定の波長の光を照射した被写体の撮影(ITSカメラ/分析装置のカメラ)などに使用されます。
・NDフィルタ
レンズから入る光の量を減らすために使うフィルタです。 NDはNeutral Densityの略です。 発色に影響を与えることなく、光の量を減らすことができます。
例えばイメージセンサの前に、NDフィルタを入れることにより、絞りを大きくしたり、シャッター速度を遅くしたりすることができます。明るい場所でのデジタルカメラの撮影では、絞りが小絞りとできないときなどに使います。NDフィルタを使うことにより、白飛びの防止や残像を得ることで、より自然な映像が撮れるようになります。
NDフィルタについている数字ND2,ND8は透過率を表す数字です。例えばND2は光を1/2(50%)、ND8は1/8(12.5%)の光を通すフィルタとなります。